《MUMEI》 . 歳は、わたしとそれほど変わらないだろうか。 柔らかそうな黒髪に、こちらにまっすぐ向けられた、賢しげな光を宿す瞳。わりと調った顔立ち。実直そうな雰囲気。 そしてなにより気になったのは、 彼が来ていた、ダークグレーの詰襟学生服。 生地にシャドーストライプが入っているその制服に、見覚えがあった。 ………この制服、 確か、ウチの学校とならぶハイソ校の、 『常世高校』?? 『常世高校』は私立の男子校で、『蓬莱学園』と一、二を争うセレブ学校だ。 『蓬莱学園』と同じように、金持ちのボンばかりが集っているが、決定的に違うのは、その偏差値。 わたしが通う『蓬莱学園』は、どうしようもないバカでも金さえあれば入学出来るが、『常世高校』はそうはいかない。 生徒の家柄はもちろんだが、学力に関してとくに厳しく、『常世高校』の入試は、超難関として、世間でも有名だった。 さらに『蓬莱学園』と『常世高校』は、『日本一のセレブ校』の名を賭けて、互いにライバル視しているため、両校の間柄は険悪そのもので、なにかにつけて張り合っている。 ただし、断然学力が低い『蓬莱学園』は、『常世高校』の人間に見下されているが。 その、『常世高校』の制服を着た男が、 今、目の前にいる…。 . 前へ |次へ |
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