《MUMEI》 . 心の中で、ムキになって叫んでいると、 彼は、わたしの顔を見て、 安心したように、ほほ笑んだ。 「よかった、ひと違いじゃなくて」 澄み切った青空を思わせる、爽やかな抑揚だった。 一瞬にして、わたしの警戒心を解くほど、 その声は、とても穏やかだった。 ぼんやりしているわたしに、彼はハッと我に返り、照れたように笑う。 「いきなり、ゴメン!びっくりするよね」 軽やかな笑い声に、わたしの心は奪われる。 彼はわたしの方へ近寄り、それからニッコリ笑った。 「俺、常世高校2年の《汐見 将門》っていいます」 突然、名乗られて、わたしはびっくりしていた。 …………《シオミ マサカド》 その名前を、胸の中で反芻する。 . 前へ |次へ |
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