《MUMEI》

卒業式

教室に忘れ物を取りに行った。

ガラッ

「あ」

「おう」

石田が、なぜかあたしの席に座っていた。

「てめー人の席にずーずーしく座んなよ」

「もうおまえの席じゃねーっつーの」

「…たしかに」

「どうしたんだよ」

「ん?ああ、忘れ物取りにきた」

「ふーん…」




「卒業かあ…」

「なに、泣いてんの?」

「なっ、ないてねーよ!」
「てかあんまり関係なくない?みんな同じ中学なんだから」

「まあな。…なぁ」

「なに?」

「おまえ、好きなやつとかいた?」

「はぁ〜?何いきなり」

「いいから」

「いなーい。何、石田いたの?」

「…いねーよ。」

「だろーね」

「あんだと?!」

誰もいない教室にひびく笑い声。

「おまえみたいな女、好きんなるやつなんかいねーよ!」

「余計なお世話!じゃあねっ」

「あ!おいっ…!」

「なによ?」

「も、もしよ、」

「?」

「誰ももらってくんなかったら、おれがもらってやるよッ」

「はあー!!??けっこうですッッ」

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