《MUMEI》 「寒い……」 無意識に呟いていた。 窓を叩いたが反応しない、携帯を鳴らしたのもこれで四回目だ。 これで起きなかったらもう、帰る……。 つまり、 これが最後…… かじかんだ指で七生の番号を押す。 耳元で電話のかかる音が響く。 「出ないじゃん馬鹿……」 『ばかあ?』 不意に七生の声が聞こえる。 体は冷えているが芯は温まった。 「入れて、窓……」 『窓って……、ここ二階……』 七生と窓硝子越しに目が合う。 「お掃除に参りました。」 外壁の縁を命綱無しで渡ってきたので、足腰にきている。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |