《MUMEI》
二人のじゃれあい?
「ハンド〜?ヒトの話ちゃんと聞かないとダメだって・・言ったよね?」
笑顔のまま空中に佇むハンディングを見る。
「いや・・だが。彩詩??」
「言い訳は聞きたくないなぁ〜」
シュラン・・
剣を抜き放つ。
「ちょっと待て、彩詩。ココは仮想世界で、怪我をしようと・・現実には一切問題ない場所であろう?殺した所で問題など・・」
「うん、そうだね。だったらハンドをボコボコにしたって問題は無いんだよね?うん、良く考えたらハンドってチーム違うし・・」
あきれた顔をしているハンディングに対してなのか、独り言なのか、笑顔のまま嬉しそうに言っている。うふふふふ・・と怪しげな笑い声さえ漏らし始めた。
「そなた、魔物より邪悪に見えるが・・気のせいであってほしい。」
はぁ・・と大きなため息と共に、全身に魔力を行き渡らせるハンディング。
「・・・・何か言った?」
笑顔が消えた。怖い、どんな魔物よりも怖いとハンディングが一歩後ずさった。
そこを通り抜ける銀光。
「避けるな!!」
「・・・・」
しばらくの沈黙の後、
「彩詩と真剣に戦うのも悪くは無いか。」
その一言と共に魔法陣が展開されていく。3・・6・・12・・24
「以前のようにいくと思うな。」
24の魔法陣が一斉に発動する。雷が天を奔り、炎が焼き払い、風が炎を燃え盛らせ、覆い尽くす。
空間の歪みが大地を穿ち、砕けた岩は飛礫となって彩詩を襲う。
ドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・
術の雨の中を人影が踊るように走り抜けていく。
剣を閃かせ、術を打ち消し、空いた空間を走る。
ヒュヒュヒュヒュン
手にした弓が弾かれ、矢がハンディングへと飛ぶ。
「ふむ・・」
矢を視界に入れただけ、ハンディングの左眼が強く光る。
矢は一瞬の間に焼き払われ、空に消える。
キィィィン!!
パラパラと矢の残骸が火の粉と共に舞い落ちるのを吹き飛ばし、彩詩が強襲、斬撃を放つがいつの間に手にしていたのか、ハンディングは左手の夕凪でそれを容易く止める。
「なんでハンドがそれ持ってるのさ!!!」
地面に着地し、再び降り注ぐ術の雨を避けながら叫ぶ。
「そこで拾ったのだが、我が持っていて何か問題でもあるのか?」
24の魔法陣は自動で彩詩をロック、術を放ち続ける。
「あっそ!!じゃあこっちも全力でいくからね!!後で泣いたって知らないから!!」
「我は最初から全力なのだがな・・天堕ちる者・・我が血を糧にその力を示せ。紅き刃を纏い、全てを焼き滅ぼせ、愚者に安らぎと永遠の苦痛を、ブラディクロウセル!!」
ハンディングの周囲に展開されていた24の魔法陣が消滅し、一条の紅い雷が堕ちた。
雷系第10位程度の雷と闇系統の属性を混ぜたハンディングのオリジナル魔術。消費する魔力量、構築する魔力の流れなどが尋常ではなく、現在使うことができるのはハンディング、ただ一人。そのため階位の認定は無い。
大地を穿つ。周囲の地形さえ変えてしまうような一撃。砂塵が舞い上がり、彩詩がどうなったのかも解らない。
「この程度で・・終わりではあるまい?」
期待するようなハンディングの声。

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