《MUMEI》

  
「ん…まぶしい…」
「起きたか」
「朝…?」
「夜だよ」

気が付くと周りは外灯のチカチカするネオン街で、僕は千晶さんに背負われていた。

ココは…よく見てみたら千晶さんの家の近く。

僕は自分のジャンパーの上からサイズの大きい千晶さんのジャケットを着せられていた。


…そういえば、帰る時…一緒に居た男の人と手を繋いで仲良く帰っているあの小さな彼の姿を見て、ちょっと心にモヤモヤしたものがこみ上げてきたんだ。


僕はあんなに愛されているだろうか…。

その前に、僕らには愛はあるんだろうか…。


それを試すように道端に座り込んで「歩けない、おんぶして!」とワガママを言ってみたら、千晶さんは僕を軽々とおんぶしてくれた。

ほんのり暖かくてリズミカルに刻む心音に安心して、僕はそのまま眠ってしまったんだ…。




手を動かそうとしたら、後ろに倒れないようになのかしっかりと腕を握られていた。

「腕…痛い…」
「ん…」

千晶さんが離した手首を撫でると、離されたその腕で、千晶さんの逞しい身体を背中からギュッと抱きしめた。

「お前はスッキリしたろうが、俺はまだモヤモヤしてんだぜ…」
「じゃあ帰ったらすればいいじゃん…」


僕らの関係は、愛だか恋だか…身体だけなのか…。


それは分からなかったけど。


しばらくこのまま…彼と一緒に居たいと思った。

  

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