《MUMEI》

「二階っつっても、三階くらいの高さはあるんだ。なんつー無茶を……。」

七生はベッドに突っ伏す。


「ちゃんと着いた。」

手足がかじかんで、七活の首に指をはり付けると痙攣したのが伝わる。


「夢……か?」

毛布の隙間から、茶色の瞳が瞬く。


「復讐しに来た。」

本来の目的だ。



「……どうした?」

向こうにしてみればいっぱい突っ込みどころはあると思う。


「どれのこと?」

そう、夜は長いのだから順序立てて一つずつ消していかなければ。


「……もう一回寝れば覚めるかな。」

再び毛布の中へと埋もれてゆく。


「背けるな。」

毛布を捲くり上げてやる。


「トモダチだろ?」



「……ップ、ふふ……アハハハ!」

七生の言い方があまりにも違和感があって、笑ってしまう。


「はは……やっぱ夢か?」

寝起きでまだ理解力が足りないのか眠ろうとする。
眠気覚ましには、キスが一番良い。


唇の温度を確かめながら、底無しの羽毛に沈む。

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