《MUMEI》 『アレを処刑しろ。』 まるで、心中を読み取られたようで気味が悪い。 天井に這うそいつも、僕には悍ましいものに見えた。 八本足の生物は、不揃いなリズムを刻みながら僕等に粘液の糸を放出する。 数人が、捕まり身動きが取れない。 しかし、僕には、はっきりと粘液の流れが見えていた。視界がスローモーションのように遅滞である。 明らかにいつもと違う高揚感だ。 八本足の不規則な運びも気にならない、何故なら足を四本もぎ取れば残りは四本になるからだ。 朱の混じる視界には一本、また一本と足を失ってゆく球体が在った。 粘質の糸が張り付きながらも、率先しもぎ取る。 他のイツバが弱る中、体中の血が沸騰する程に僕は昂揚していた。 不思議と張り付く糸でヒリヒリする皮膚が気持ち良い。 あとは、球体を解体するのみ……禁止されたものを冒してゆく快感だ。 爪を立てながら、指を挿入させる。 プシュ・ 炭酸が漏れるように音を立て、中から液が溢れた。 顔には布が被さり、首のとこを括られ、目だし帽のようになっている。 前へ |
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