《MUMEI》 玄関で「「…」」 「拾った」 「…」 「お風呂、入ろう?」 「…」 クーが声をかけても、台車の上にいる人物は、ピクリとも動かなかった。 「「いやいや!!」」 アルゴンとネオンは慌てて口を開いた。 特にネオンは、女言葉を忘れる程の慌て方だった。 「だって、汚れてるし、動けないみたいだから」 クーの言葉は事実で、そこに下心は全く無かった。 「クーちゃん…一応聞くけど、その子の性別は?」 「女」 「わかってて、拾ってきたのか? しかもそいつ明らかに未成年だろう」 「わかってた。多分未成年。でも…」 「「でも?」」 詰め寄る二人に、クーは言った。 「綺麗だったから」 それは、小動物を拾ってきた子供が、『可愛いでしょ?飼っていい?』と親にねだるような口調と表情だった。 「「…」」 クーに甘い二人は 『家族になって欲しかったから』 『賢そうだったし、悪い人じゃないから』 同じ口調と表情で、そう言われた二人は心が揺れた。 クーはそんな二人を意外と常識あったんだなと思いながら見つめていた。 前へ |次へ |
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