《MUMEI》 ピクッと反応した陽和は、さっきまでの具合悪そうな様子は綺麗さっぱり消えて、子犬のように人懐っこく笑いながら、瞳をキラキラさせて、興奮気味に食い付いてくる。 「行かねぇよ。海なんて」 バッサリ切り捨てた俺を見て陽和と永久は目をパチパチさせて、和月と澪はクスクス笑ってる。 「えー?なんでっ!?いぃじゃん一緒に行こうよ!」 ぷくっと頬を膨らませながら、不満そうに陽和は言う。 「めんどくせーから嫌だ。」 「面倒じゃねぇって!楽しいぞっ!!海は!」 永久も目をキラキラさせて、はしゃいでる。 「志遠、どうだ?一緒に。コイツらどうしてもお前と行きたいみたいだし。」 余りの五月蝿さを見兼ねて、和月が陽和たちの助け舟を出してきた。 「まぁ。いいんじゃない?海くらい」 それに便乗して、澪まで口を出してくる。 俺を見るこの、無駄に顔の整った四人の瞳には、明らかに期待の色が滲み出ている。 「はぁ、分かったよ。行けばいいんだろ?」 半ば、諦め気味に俺は承諾した。 俺はこんなにも情に流されるような性格だっただろうか。 多分違う。前はもっと、冷たいヤツだったと自分でも思う。 変わったキッカケは紛れもなく、この四人のせいだ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |