《MUMEI》
別館
『え〜っとたしか、真っ白な別館って言ってたよな…』





悠一は、取り敢えず廉の言っていた別館へと足を運んだ。

中に入ると、そこもさっきの屋敷同様、豪華な造りとなっている。



しかし、お嬢様の部屋の場所を示す案内板などはあるはずもなく、中に居たメイドを一人呼び止めて聞くしかなかった。




「あのー、すいません。お嬢様のお部屋の場所、教えてくれませんか?」

「……どなたですか?」

「今日からここで働くことになった白霧 悠一です」

「ふ〜ん…。ホントに?」

「えっ?嘘じゃないですよ?」

「怪しいわね」

「なっ!?本当ですって!嘘だと思うなら、南方さんに確認して下さいよ!!」

「…そこまで言うなら、信じてあげてもいいけど、お嬢様に何かあったら許さないわよ」




とんだ誤解を受けたが、何とか部屋の場所を教えてもらえた。
何であんなに疑われたのかは、全く分からないけど…。



教えられたお嬢様とやらの部屋まで行き、ノックをしてみるものの、返事はなし。
何気なくドアノブを捻り、扉を開けてみる。

全体的に白で統一された女の子らしい部屋が目の前に表れた。

'悪いかな'と思いつつも、足を踏み入れてみる。





『留守か?』





室内を見渡すと、棚の上に置かれた、一枚の写真が目に留まった。




『家族写真…?』




よく見ようと思い、手を伸ばしたその瞬間、悠一の頬を何かが掠め、痛みが走った。




「いってー…うわ、血出てる」




何が起こったのか理解できずにいると、背後から女の声がした。

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