《MUMEI》
鬼の子と蝮入道
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−−−さながら、地獄絵図のようだった。





火に焼かれ、赤茶けた大地には、崩れ落ちた家屋の瓦礫の山、そして、それに折り重なるように、沢山の人間の屍が転がっている。辺りには肉が焼ける臭いと、それが腐乱する臭いが混じり合い、鼻がおかしくなりそうだった。

戦慣れしている兵士たちも、さすがにこの惨状を前にすると、皆、一様に顔をしかめた。

「酷い有様だな…」

「皆殺しとは、なんとむごい…」

兵士たちが口々にそう漏らす中、
馬にまたがり、前に進み出た男がいた。

彼は立派な鎧甲を身に纏い、焼き野原をぐるりと見渡す。

全く、ひとの気配がない。
というよりも、生命の息吹すら感じない。

憮然とした表情を浮かべたその武人に、ひとりの兵士が、「屋形様!」と声をあげ、駆け寄る。

兵士は武人の目前へと踊り出ると、片膝をつき、頭を垂れて、そのままの姿勢で高らかに続ける。

「潜んでいた賊はすべて片付けました。土岐の者かと存じましたが、武人崩れの山賊だったようです」

兵士の報告を聞き、武人は表情を厳しくした。

武人は顔を向けずに、低い声で「野狩りか?」と尋ねると、兵士は頷いた。

「己の糧が無くなったので、この集落を襲撃した、と」

そこまで聞いて、武人は「相分かった」とだけ答えると、馬を操り、後方に控える兵士達へ振り返った。

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