《MUMEI》 やり過ぎ二人組「威力がダイブ落ちてるよ!修行不足なんじゃない?」 砂塵を突き抜けながら、左手の弓から矢を次々と放っていく彩詩。 「そう来なくてはな!!」 左頬から左腕を覆う昏い刻印を紅い光が流れる。 「冥府に繋がれし狼、ケルビーよ。我が呼び声が聞こえているな?我が魔力を喰らい、ココに顕現せよ!!」 紫炎を纏いソレはハンディングの足元に召還された。 「グルルルルル・・・」 ハンディングに向かって放たれた矢を全て焼き尽くし、彩詩を睨む、全長3メートルほどの紅毛の狼。 「召還獣・・前衛が居れば勝てる、とでも思った?」 「ケルビー」と総称される炎を纏う赤毛の狼。召還者の命令に忠実で、初歩の召還獣ではあるが、決して弱いわけではない。彼ら、ケルビーは召還者の技量によって強さが変化し、召還者と同じ性質を持つ。 ハンディングが召還したケルビーには左の前足から左頬を黒い刻印が描かれている。今のハンディングと同じように・・ 「そう、楽観はしておらぬよ。」 「ふ〜ん。」 一瞬の静寂、 「がぅうう!!」 「エイミング・ドロウ!!」 ケルビーが紫炎を吐き出し、ハンディングが魔法を放つ。 高速で飛翔、追尾し、対象物を襲う。動属性、第4位の魔法。マジックショットの発展魔法であるエイミング・ドロウ。マジックショットと同じく、術者の能力で弾数が増減する。 「・・清浄なる真意の光・・深緑の風よ・・」 詠唱をしながら走る彩詩。背後を追うように炎が奔り、彩詩を追うエイミング・ドロウが次々と地面を穿つ。 「ケルビー、行け!」 「ガウ!!」 ケルビーが宙を走り、彩詩へと襲い掛かる。背後で詠唱を続けるハンディング。エイミング・ドロウは継続発動をしたまま、次から次へと光弾が発生、彩詩へと飛び続ける。 「集い、その光を纏い・・」 詠唱をしたまま、右手に剣を左手には小刀を構えケルビーを向かえ撃つ彩詩。 「束ねよ、束ねよ、幾重にも・・」 詠唱が続く。 エイミング・ドロウを左手の小刀で次々と打ち落としながら、右手の剣でケルビーの爪や牙を受け流す。 「グルルル!!!」 「億千万の翼となれ・・邪魔!!」 ケルビーに小刀で反撃をする。 噛み付き、小刀の一撃を止めたケルビーに対して微笑む彩詩。 「解き放て、夜霧!!」 その一言と共に、小刀が爆ぜる。 ドシャァァアアア・・ 地面に叩き付けられ、そのまま地面を転がっていくケルビー、紅い雷でその身を焼かれながら・・ 「歪み、全てを、一極の黒点と化せ!!そこに在るのは・・全て、折り潰せ。グラビティ・ディメンション!!」 黒い球体が彩詩を中心に発生、周囲の地面さえも抉り、中心に収束させていく。 無系、第9位グラビティディメンション。超強力な重力の塊を発生させ、周囲の物を圧壊させる魔法、黒い球体の中だけにしかその重力は作用しないが、球体内ではどんな物質も歪み、砕ける。 「危ない、危ない。ケルビーに手間取ってたら負けるとこだった。」 半径10メートルにも及ぶ黒球から発動の瞬間に脱出した彩詩が、ハンディングの正面、20メートルほどの場所に浮いていた。その背には、一対の純白の翼。 「天使の翼・・・か。確かにそれなら回避できるであろうな。」 「詠唱が終わったのぎりぎりだったけどね。」 光系、風系の合成魔法であるエンジェルウィング。階位は11位。超高純度の魔力によって形成された純白の翼は、あらゆる魔法を防御、反射し、使用者に絶大な魔力、機動力を与え、無詠唱での光、風、動、無属性の精霊術、魔術の使用が可能となり、威力も通常の数倍となる、最高ランクの補助魔法であるが、使用者自身への負担が大きく、長時間の使用、及び連続使用は死の危険さえも伴う。また、短時間の発動であっても解除した瞬間に、疲労、魔力の枯渇・・・満身創痍の状態となるため使用する機会を見極めることが必要である。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |