《MUMEI》

「ふぅっ‥」


‥‥‥長い。


いつもの30分が、何倍も長い気ぃする。


「お嬢様は幸運ですね」


「ぇ?」


「こんなに完璧な執事はなかなかいませんよ?」


「自分で言うか‥?」


にしても‥執事とお茶するやなんて思ってもみーひんかった。


コイツ──付き合うようになってからやけに馴々しくなったなぁ。


もう彼氏なんやから、当たり前なんやろけど──‥慣れへん。


ハズいていうか、何ていうか‥。


意識してへんつもりやのに、ドキドキしとる。


「お代わり如何ですか?」


「ぇ、うんっ‥」


ほんまにドキドキや。


──惚れてもうたみたい。


ううん、惚れてもうたんや。


ていうか、コイツに惚れさせられてもうたんや。

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