《MUMEI》 独占区域「二郎……、これの意味わかってる?」 「七生さえいればいいよ。」 互いの腕の力はそれでも緩むことは無い。 最初からこうする勇気があれば良かった。 「…………俺も」 七生の接するところから愛しさが増す、声を聞くと俺の名前が、七生に呼ばれたがる。 「……なあ、これ……」 「……ん?」 持ち上げられた乙矢の“お守り”を見せられて、今までの酔いが静かに醒めてゆく。 「それは……、なんか道に落ちてた?のを拾った?」 無理のある言い訳だ。 「あのな、そんな格好で忍び込まれたら誤解するから止めて……」 「これは、見付かった時のための変装で……!」 「窓の縁から這ってきたのに?」 そうだ、考えてみれば変な話だ。 前へ |次へ |
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