《MUMEI》
少女
「動くな!お前、一体何者だ!」

「えっ!?何者って…」

「答えろ。 ここで何をしている」

「あ、あの、ちょっと待って。何か勘違いしてないか?」

「勘違い?」

「俺は、不審者じゃないから」

「だから、何者なんだよ!」

「取り敢えず、正面向いて話したいから、これ…鉄パイプ?どけてくんない?」





顔の横にある棒を指差すと、それは降ろされた。そして、振り向いた悠一の前に立っていたのは…






「ずいぶん小さな餓鬼だな…」





目線を下に向けなければ見えない少女だった。栗色のウェーブのかかった長い髪で、整った顔立ちをしていた。





「こんな餓鬼にやられるとは…。俺、落ち込みそ…う゛!?」




悠一の顔面に、少女のパンチが飛ぶ。





「うっさい!!そんなことはどうでもいいから、何者なのかを早く言え!!」

「分かった、分かったから……って、ん?」






ちょっと待て。なんかおかしくねぇか?たしかに、黙って入ったのは俺が悪いけど、怪我させたうえに殴っといて、これはあんまりじゃねぇか?

第一、人に名前を聞くときは、まず自分が名乗るのが礼儀ってもんだろ?

あー、なんか腹立ってきた…。

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