《MUMEI》
案内人2
腹を抱えて笑う俺を


クイーン


もとい


一ノ宮先輩は、真っ赤になって見ていた。


「ワリー」


怒ったよな、絶対。


「…っ…いいよ、別に」

「いや。よくない」


いくらツボにハマったからって、人の名前で笑うのは悪い。


「悪かった。ごめん」

「いいから。そんな簡単に謝るな。…調子狂う」


頭を下げる俺を見て、一ノ宮先輩は本気で焦っていた。


「じゃあ、改めて、案内頼む。一ノ宮先輩」

「わかった」


それから、俺と一ノ宮先輩は、理事長室に向かうまで、少しだけ話した。


その中で、ダイヤの連中が生徒会役員なのは、全員が成績優秀の上に名家出身で、学園内で絶大な人気があるからだと知った。


…神様は不公平だ。


まぁ、いいけどさ。


俺は、自分で言うのも何だが、基本努力タイプだった。


ついでに、学園内の校則は割と自由で、髪の色もあまりうるさく言われないらしい。


「僕と薫は地毛だけどね」

一ノ宮先輩がそう言った時、乗っていたエレベーターが止まった。


つーか、校内にエレベーターとか…


有り得ねーよ、誠治さん…

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