《MUMEI》
案内人3
「ここは、理事長と高等部校長専用フロアだよ」

「有り得ねー…」


有り得ねーよ、誠治さん…


庶民の俺には、この光景は異様だった


異様にデカイドアに、金色のドアノブ


そこに続く、赤絨毯


「じゃあ、僕はこれで」

「え!? 一緒に行かないのか!?」


ここまで来てこの空間に、放置!?


そんなの嫌すぎる!


気付けば一ノ宮先輩の腕を掴んでいた


「…っ…、大丈夫だよ」

「っ!」


一ノ宮先輩は、頬を染めながら


ものすごく綺麗に笑った


…何か


何か、女の俺より遥かに綺麗で色っぽいんだけど!


「またね、誠」


一ノ宮先輩は優雅な動作でさりげなく俺から離れ、エレベーターに乗った





…あ、見とれてお礼言うの忘れた!


でも、一ノ宮先輩またねって言ってたし、同じ高等部だし


会ったら、また礼言おう!


「とりあえず、…入るか」


どうせ、中にいるのは誠治さんだし


ついでに無駄遣いやめろって説教しようかな


コンコン


一応、ノックしてから扉を開けた

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