《MUMEI》 「覚えとるよ?」 むっちゃよう覚えとる。 「もう忘れているかと思ったけど──」 「あたしそないに忘れっぽくないもん」 「ぁぁ、意外と記憶力は悪くないみたいだな」 「余計なお世話や」 「──あの時はかなりビックリしていたようだけど──」 「だってアンタ、普通堂々と玄関から入るかいな‥」 「強化ガラスはそう簡単には割れないからね」 「ん‥‥‥そういえば‥どないして鍵開けたん‥?」 「簡単だ。ただこれを使って──」 「泥棒やんッ‥」 「やり口が、だろう?」 「ある意味泥棒やん」 「何故そう思う?」 「‥‥‥だって‥あたしの心盗ったし」 「──フ‥確かにそうだな。君の言う通りだ」 「〜〜〜‥笑わんといてや」 何でいちいち笑うん? 「ていうか、何であの日の話持ち出してきたん?」 前へ |次へ |
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