《MUMEI》
容赦なく続く・・
「初めて見るが・・なるほど、これほどのモノか・・」
「私の場合、10分が限界発動時間。それ以上になれば・・どうなるかは解らないってさ。10分、逃げ切れたらそっちの勝ちだよ。」
「誰が逃げると言った?所詮、虚構の世界だ。死すら訓練の内であろう。」
ハンディングの周り魔法陣が展開され始め、戦いの準備が始まる。
「それじゃ、時間も無いし。行くよ!!」
彩詩が移動、20メートルの距離を一瞬で0とする。
キィン、キィン!!
打ち合わされる剣と刀。
圧倒的にハンディングが押されている。
「く・・分が悪すぎるな。だが!!!」
ハンディングの左手が振り抜かれ、多数の真空波と、爆発が起こる。
爆発に乗り、距離を離すハンディング。
「我が血を糧に集え。深淵の愚者よ。彼の者を貫け!!シャドウランス!!」
闇系第6位、対象者の影より具現化された漆黒の槍が対象者を貫く魔法。
さらに次々と術を展開させていくハンディング。
「幽玄の姫君よ・・その名の下に集わせよ!幾千の槍、穿つ牙を!!フリーズランサー!!」
氷系第8位、アイシクルフレイザーの上位の術。ツララがより大きな氷柱となり威力が格段に上昇しているうえ、砕けた欠片さえも、目標へ向かうようになっている。
闇が固まったような槍が現れ、彩詩が居た場所を貫き、数千の氷の槍が飛び貫こうとする。
「この程度!!」
バサリ!!
強く背の翼が煌く。それだけで、貫くはずであった闇色の槍は砕け散る。
飛翔、ハンディングへと一直線に、氷の槍の雨にも見える中を飛ぶ。
貫くはずの氷の槍は砕け散り、蒼い煌きと共に地に落ちる。破片は全ての魔力を失い、ただ地に積もるのみ。
「く・・」 「甘いよ!!」
ハンディングと彩詩の視線が近距離でぶつかる。
ザン!!
彩詩の放った一撃が正確にハンディングを捉え、斬り裂いた。
(手応えが・・おかしい!!)
咄嗟に翼で自分の体を包むように防御する。
ドゴォォォォオン!!
轟音、斬り裂いたハンディングが爆発し周囲に衝撃波と炎を撒き散らす。
「甘いのはそなたであろう!天堕ちる者・・我が血を糧にその力を示せ。紅き刃を纏い、全てを焼き滅ぼせ、愚者に安らぎと永遠の苦痛を、ブラディクロウセル!!」
響くハンディングの声、堕ちる紅い雷。

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