《MUMEI》 脇目も振らず、ただ走る。 相手チームのゴールは目前に迫っていた。 すると丁度そこへ、 先程俺に挑発してきた奴が立ちはだかった。 そいつは片方の口端を上げて、 嫌らしく微笑んでいる。 目は真っ直ぐに俺を見据えていた。 体格も背丈も断然違うため、 突如現れた壁のようにも見える。 怖ない! こんなん、あっという間に抜いたる! 更にスピードを上げて、 正面突破を図る。 だが、やはり隙は何処にもない。 しょうがなく、ステップを踏むことにした。 まず右へ移動し、 続いて素早く左へ移動する。 「You are impertinent!」 (小賢しい奴め!) 通り過ぎようとした瞬間、 奴は何やら独り言を呟いた。 その刹那、 鋭い衝撃が走る。 「賢史!」 倉木さんが走って来る中、 何がなんだか分からずにその場に足を抑えて倒れ込んだ。 前へ |次へ |
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