《MUMEI》

「アキラ、こっちこっち♪」

ジェイミーは身体にそのバスタオルを巻きながら、部屋の横にあった扉を足で開けていた。

そこの古い扉は直接バスルームに繋がっているらしく、灯りが差し込んできた先にはヨーロッパでよく見るようなタイプのバスタブが見えた。

「へぇ…便利だね」
「うん、いいだろ…ダァフイッヒ ベヌッツェン バーデツィマァ?(お風呂使ってもいい?)」

急にジェイミーがドイツ語を大声で言い始めたかと思ったら、向こうの方から「ズィッヒャア(どうぞ)」と答えが帰ってきた。

あれは…。

さっき僕たちの事を見ていたあの人だな…。

そう思ったら顔や身体がカァァ…と熱くなるカンジがした。



「共同生活だからさ…おいで」

ジェイミーはそう言うと僕に向かって手を伸ばしてきた。

そう言われてベッドから起きあがろうとしたら、自分も全裸でしかもジェイミーと同じように濡れていた事に気が付いた。

「あっ///」
「…アキラ///」

それに気が付いたジェイミーはニコッと笑いながら、自分の付けていたバスタオルを広げて僕をギュッと抱きしめてきた。

「一緒に入ろ♪」
「…ぅ…うん///」



二人で一緒に入っても足が伸ばせるぐらい広いバスタブに入ると、ジェイミーは僕の膝の上に座りながら嬉しそうに話しかけてきた。

「アキラと一緒になれて、良かった///」

ジェイミーの形の良いお尻が僕の太股の上にちょこんと座っている。

「どうして…僕なんかに声をかけてきたの?」

こっちには、もっとカッコいい人だってたくさん居るのに。

ジェイミーみたいな美人には、もっと綺麗な人が似合うんだよ。

克哉さんみたいな…綺麗な人…。


「…マーケットでキミを見つけたとき、ものすごいラッキーって思ったんだ」
「え…公園でじゃなくって?」
「そうだよ、助けようかと思ったらあの小さいナイトが現れたんだけどね」

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