《MUMEI》

「だから久しぶりだった…こんなの///」
「…ジェイミーは恋人はいるの?」

そう言うとジェイミーは下を向いてひとつため息をついていた。

「…募集中」
「そっかぁ…」
「だからさ…たまにウチに来てよ」
「…ぅ…ん」

僕が歯切れの悪い返事を返すと、ジェイミーは一瞬ムッとしたような顔をしていたが、理由が分かったのかちょっと考え込むと、また僕の方に向き直って話しかけてきた。

「…ほら言ったじゃんか、旦那さんにはウチに勉強しに来てるって言えばいいんだよ」
「…いいの…かな?」
「いいの?…いいのかって?いいんだよッ!」

ちょっと声を荒げて怒るジェイミーに戸惑っていると、急にジェイミーの様子が変わって今度はしおらしくなってしまった。

「…僕とするの…嫌なの?」
「えっ///…そんな事…ないよ///」

涙声のジェイミーに、どう答えていいものか…。

答えにくくなって視線を横にずらすと、バスルームにあった時計に目が行った。

「…くるみちゃん…子供のお迎えに行かなきゃ」
「ぁ…そうだね」

気が付かなかったけど、もうそんな時間だ。

時間が経つのが早く感じた、という事は楽しかったって事だ。

こういう事をするんじゃなくても、たまには遊びに来てもいいかな…。

そして、ウチに遊びに来てくれたら…いいな。




「来る時は携帯で連絡してよ♪」
「うん…じゃ、またね///」

服に着替えて靴を履くと、玄関口まで迎えにきてくれたジェイミーが薄着なのに気が付いた。

「寒くない?」
「え…うぅん、そんなに///」

袖口をくしゅくしゅにさせながら笑う姿が可愛くて、外から見えないような壁にジェイミーの身体を押しつけると、その身体を抱きしめてキスをした。

「ん…///」
「寒いから…風邪引かないでね」
「うん///」


ジェイミーとキスをして別れると、急いで知っている大通りまで出て幼稚園までの道を走ってった。

別に走らなくてもいいんだけど…何となく走っていたい。

そんな気分だった。
  

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫