《MUMEI》

今ほんまにひっくり返ってまうかも知れへんかったんやで?


「大丈夫ですよ、僕がちゃんと──」


「むぅ」


「何か失礼でしたか?」


「近いんやもん‥」


「まだ近いという程ではないと思いますが? というかさっきは紅茶をお注ぎしていただけですし」


「そやけどアンタは‥いちいち何ていうか‥」


「フ‥。そうかも知れませんね──」


「アンタ今日笑い過ぎやない‥?」


「お嬢様が楽しませて下さるので、つい」


「た‥」


楽しませて下さるので‥?


「随分と意外そうな顔をしてますね」


「してへんもん」


「嘘はいけませんよ?」


「ぃ‥」


何でアンタはいっつもいっつも〜っ‥。

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