《MUMEI》
Duften von Seife.石鹸の香り。
「アキラしゃん///」
「くるみちゃん、今日は泥んこ遊び?」

手も服も泥だらけにしたくるみちゃんとミニョンちゃんがキャッキャとはしゃいで僕に両手を見せてきた。

「お手て洗ってきたら帰ろうね」
「うん♪ゲーェンヴィア ミニョン(行こう、ミニョン)」

くるみちゃんはお兄ちゃんらしくミニョンちゃんの手を引くと、水道の方に走って行った。

(ミニョンちゃん歩き方がペンギンみたいで…可愛いなぁ…)

そんな可愛いカップルの様子を眺めていたら、同じクラスの子のお父さんだろうか…もの凄く大きな人が僕の隣にもっそりと現れた。

ドイツ人はみんな日本からすると規格外なくらい大きくて逞しいので、最近はある程度の大きさ人のにはビビらなくなってはいたんだけど。

この人は…身長が克哉さんより全然高くて…2mぐらいはあるだろうか、まるでレスラーのようだった。

伸ばした髪をフサフサにして、まさに”山男”といったカンジだった。


でも、何だかどこかで見た事あるような風貌……。

前に会った事は絶対に無いんだけど、何だか懐かしいカンジ…。

(あぁ…ジェロニモだ)

昔見たマンガ、キン肉マンの”ジェロニモ”に似たそのお父さんは、じっと僕と同じ方向を見つめていた。

(…まさか)



「お手て洗ってきたよぉ〜♪」

水道の方から手を洗い終えたくるみちゃんがミニョンちゃんと手を繋いで走って戻ってきた。

「くるみちゃん…」
「ああ〜っ!」

僕が手を広げて待っていると、急にくるみちゃんはその場に立ち止まって、僕の隣にいた大きなジェロニモを指さして「ミニョンちゃんのパパなの〜♪」と大きな声で僕に教えてくれた。

(やっぱり…)

小さくて可愛らしい子リスみたいなミニョンちゃんからは想像出来ないくらい、山のように大きなジェロニモさんがゆっくりとこっちを向くと、僕に向かってニッコリと笑いかけてくれた。

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