《MUMEI》
騎士の力、魔女の力
「舐めるなぁぁああああ!!」
左手の小刀で紅雷を受け、強引に受け流す。
「天堕ちる者・・我が血を糧にその力を示せ。紅き刃を纏い、全てを焼き滅ぼせ、愚者に安らぎと永遠の苦痛を、ブラディクロウセル!!」
起動。高位、高位の連続魔法。瞬間的に凄まじい量の魔力が解き放たれ、周囲の景色が揺らめく。
翼が大きく羽ばたく。一瞬にして加速、二発めの紅い雷を回避、声で位置は確認した。後はそちらへと飛ぶだけ。
「く・・化身だね・・・でも!!」
両手の剣を投げ、弓を構える彩詩。魔力は一瞬で収束、解き放たれる。
「セイクレインファランクス!!」
数十条の光が弓から放たれ、16人に分裂したハンディングを正確に向かう。
アバター、無系、第7位の魔法。魔力によって自身と同じ外見、同じ魔力波長を持った人形を作り出す魔法。アバター(化身)には実体があり、簡単な動きをさせることも出来る上、先ほどのように、内に魔力を籠めておき、爆発させることも出来る。
射抜くはずであった光条がアバターの展開したマジックシールドによって全て止められている。
「そんな・・化身が魔法を使えるはず・・」
驚き、疑問は後回し。攻撃を続ける彩詩。
「グラビティディメンション!!」
黒球が発生する。一つだけではなく、5つ。視認できる全てのハンディングを効果範囲に収め収束しようとするが・・
バリィィン
ガラスが割れるような音と共に全ての黒球が砕け散った。
異常としかいえない量の魔力がハンディングたちから溢れ出す。
「まさか・・アバタールインなの?」
「そういう事だ。」
ハンディングの声が響く。
アバタールイン、無系第12位の魔法。自身を多重存在とし、そこに存在させていく魔法。術者がアバターの数だけ増えた。そう考えるのがもっとも簡単な理解方法である。現在であれば16人のハンディングを同時に相手にしていることになる。
強力な魔法であるが、アバターの一体が掠り傷一つであっても負えばそれだけで致命傷となる。いわば、攻撃のみに特化した結果、全ての防御を捨てた魔法。全てが同一存在であることが根本にあるため、僅かな違いが致命傷となる。
さらに、魔力はアバターを維持するために常時使い続けることになるため、消費量は凄まじい。本来、アバタールインは高位の術の詠唱や制御を分担させることで高速発動させることを目的として使用されるのでアバターを長時間出し続けることは無い。本来ならば・・・
声の後に続いたのは・・もはや雨などと言うレベルを超え、術の壁。隙間無く、様々な属性の魔法が飛び、彩詩のほうへ迫ってくる。
ハンディング一人で、24の魔法陣を展開していたことを考えれば、魔法陣の数だけで、400個近くに及ぶ。

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