《MUMEI》

親父に携帯でその事を報告すると、素っ気なく答えてくれたがやっぱり肝心な所は答えてはくれなかった。

俺も薄々分かってはいたんで、いつも通り携帯を切ろうと思ったら、奴はかなたによろしくと言い、またかなたに遊びに来いと言ってやがった。

「なぁ…お前一人で俺の親父んトコ行ったりしてたのかよ…」
「うん♪」

俺が連れて行った時のとは別に、かなたは一人で勝手に親父んトコに行っていたらしい。

「親父と何があったんだよ…」
「えへへ///ヒ・ミ・ツ♪」
「お前、コイツの親父んトコまで行ってたのかよ」
「えへ〜だって格好いいんだもん///」

そう言って脳天気に笑うかなたと終始不機嫌なはるかを連れて、色々と旅行に要りそうなものを用意をしに近くの店に入ってった。



数日後、俺は空港のターミナルで荷物を持たされてあっちへこっちへ連れ回されていた。

「梅子ちゃんはパスポート持ってたんだねぇ〜」
「う…うん、海外旅行には行った事あったから…ハワイだけど///」

女組…というかかなたと梅子ちゃんはこれから飛行機に乗って海外行くってのにこっちでお菓子とかを色々見て廻っていた。

「パパとママにおみやげで…くるみちゃんコレいるかなぁ?」
「そんなに?かなたさん荷物いっぱいになっちゃうよι」
「そうだぞ、くるみにはおもちゃいっぱい買ってたろ、あの箱に詰め込んであったやつ」
「コレ、おもちゃだったのかよ…」

俺と双子の分の2つあるトランクのどちらにもかなたの荷物が入り込んでいて、そこに段ボール箱が数個、それと梅子ちゃんのトランクが本人の性格と同じように控えめにあった。

トランクに入りきらない軽めの荷物が箱に入って何個もあったのは…そういう事だったのか。

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