《MUMEI》

「何で…仕事帰りの筈なのに、克哉さんから石鹸の香りがするんですか…おかしいじゃないですか///」
「は…?」

僕がそう言うと、克哉さんはポカーンという顔でしゃがみ込んだ僕を見ていた。



「…スポーツジムに行っていたからな」
「……え?」


スポーツジム?


「今日は仕事の帰りにジムに行ってから帰ってきたんだ、そこの石鹸の香りだろうな」


それでシャワー浴びて帰ってきたから?


「…ぁ…そ…そうなんですか///」

それを聞いた瞬間、身体の力が全部抜けるようなカンジがした。



「ぁはは///…僕、てっきり///」
「…何だ…浮気でもして来たのかと思ったのか?」

図星を突かれ力なく笑っていると、克哉さんも笑いながら僕を起こそうとして抱えてくれた。

「……アキラ」
「何ですか?」

克哉さんに抱きかかえられていると、克哉さんが僕の首周りにたくさんキスをしてきた。

「ん…くすぐったい///」
「…アキラからも…知らない香りがするような気がするんだが…」
「えっ、ウソ///」

そう言われ慌てて自分の匂いを嗅いで確認していたら、克哉さんが平たい目で僕の事をジッと見つめていた。

「…まさか」
「いや///…ぁ…友達の家に行ってたんです、アジア人の友達が出来て、その子って台湾人でこっちに留学してるんだって…克哉さんより年上で…」

つい話しすぎている自分に気づいて、それにしどろもどろになり、克哉さんのスーツを抱きしめて風呂場に直行しようとしたが克哉さんに腕をグッと掴まれて捕まってしまった。

「部屋に遊びに行っただけで、そんなに香りが移るのか?」
「ぁ…の…///」

どうしよう…。

「…お風呂に…入らせてもらって…」
「何で…風呂に入ったんだ?」
「ぇ…ぁ…///」

僕は…どんどん墓穴を掘っているような気がする…。
  

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