《MUMEI》

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わたしはため息をついた。


「帰り道で見かけてたんだってさ。好きです、付き合ってください!って、すんごい直球」


千影はふぅん…と適当に相槌を打つ。そして、首を傾げた。


「当然、フッたんでしょ?」


わたしは顔をあげた。


「いや、まだ」


「まだ!?」


冗談でしょ?と言わんばかりの顔つきだった。わたしは眉をひそめる。


「なによ、その反応」


尋ねると、千影は、だってさ…と答える。


「あんたなら、そんなヤツ、その場で、『整形してから出直しな!』とか一蹴しそうなのに」



…………なんだ、その言われようは。



千影の言い方を不満に思ったけれど、あながちハズレではないので、とりあえず流した。

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