《MUMEI》

「にしては随分と遅かったですね?」


「あはは‥すっかり時間忘れてもうて‥」


「成程‥?」


「ぁ、その‥すんまへんでした‥」


「──いいですよ──別にお説教するつもりはないですし」


分かりやすい嘘やな‥。


昼間かて、お説教する為にわざわざ学校来たんやろ?


「それはそうともう1つ」


「何?」


「もうお忘れですか?」


「‥ぁ‥‥マンガの事‥?」


マンガ位ええやんかぁ‥。


あれ、元々あたしのなんやし。


「何で没収されなあかんの?」


「何故でしょうね──」


「何故でしょうね──」


「あいまいやな‥」


「そうですか?」


「そうやん」


「誤解されては困りますね──僕はお嬢様の為を思ってしてるんですよ?」


「ほんまは自分の為なくせに〜‥」

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