《MUMEI》 ひそやかな声でそう言われ、道三はギロリと眼差しを鋭くした。 「新九郎が、この俺に謀反を起こすと申すのか?」 主の気迫に肝を冷やしたが、道利は怯まずに答える。 「その可能性も、否定出来ないという話です。新九郎様の出生を知っている者が、いつ若様にその話をするか、わかりませんよ」 諭すように穏やかな声で言ったのだが、無駄だった。道三は眉を吊り上げ、物凄い目つきで道利を睨みつける。 「俺に意見することは許さん。新九郎はこうして名を改めた。名実ともに、この斎藤の跡取りなのだ」 「くだらない話はよせ」と一蹴されてしまった。 道利は一抹の不安を覚えながらも、道三の傍から離れていった。 ****** 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |