《MUMEI》
使用人ですっ!!
「…最初からそうすればいいのに」

『うっぜー!マジうぜー』

「お前なぁ、あからさまに"うぜー"って顔すんな。殴るよ?」

「や・め・ろ!!」

「はいはい、じゃあさっさと名乗って。ほら、早く」

「ちっ、名乗ればいいんだろ」




悠一は、少女をかるく睨み付けながら、鬱陶しそうに答えた。




「俺は、白霧 悠一。高校3年生の18歳。今日から使用人としてバイトすることになった」

「使用人として?」

「あぁ。そうだけど?」

「じゃあ、何でそんな格好してんだよ?」





そう言われ、悠一は自分の格好を見る。パーカーにジーンズ…これの何がおかしいのか、さっぱり分からない。





「何でって…普通に私服着てるだけだけど?」

「この屋敷じゃ、使用人はYシャツにネクタイ、スラックスの着用が義務づけられてんだ
ぞ?知らないのか?」

「…なにそれ?」

「お前、やっぱり本当は不審者なんじゃ…?」





少女が疑いの眼差しを悠一に向ける。そして、先程の鉄棒を構えだす。







「ちょっ、それ降ろせって!マジでここの使用人なんだってば!ってか、そんな話聞いてないんですけど!!」

「ますます怪しいんだけど」

「怪しくねぇって!!そんなに言うなら、南方さんに聞いてみればいいだろ!?」

「廉に…?お前、廉が連れてきた奴か?」

「あ?そうだけど」

「なるほど、それなら…」





悠一の答えを聞き、鉄棒を降ろす少女。何やら一人で納得し、頷いている。

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