《MUMEI》

「俺はその…キス、したい…な///」
「ん〜…」

そんな可愛いかなたの頬を優しくツネったりして触っていたが、やっぱりいつの間にかあのカップルと同じようにお互い唇を重ね合っていた。

その間、青臭いあのはるかと梅子ちゃんのカップルといえば、お互いにモジモジしながら恥ずかしがって顔を合わせずにいた。




「荷物は後ろのトランクに…っていっぱいあるな」

電話で連絡してからすぐに空港にお兄さんが黒い高級車で迎えに来てくれたのだけど…見たところバンでもトラックでも無い通常のセダンタイプなのでそんなに荷物が乗るワケが無かった。

「じゃあ箱を後ろのシートの端に置いてさ、梅ちゃんと武の間に俺が座って武に半分寄っかかる〜♪」
「…あぁ、それがいいかもな、じゃあ荷物乗せたら早く乗れ」

そう言うと克哉さんはさっさと荷物を車に積み込み、同じように俺らも後ろのシートに詰め込んできた。

「ちょ…///梅子ちゃんはいいのかよ?」
「はい、はるか君が前の助手席だよね」
「……あぁ」

はるかは後ろのシートを眺めると何か言いたそうな顔をしていたが、プイッと前を向くとため息をつくとちょっと大きめなシートに体を埋めながらシートベルトを掛けていた。


「あれ〜兄ちゃ、くるみちゃんは一緒じゃないの?」
「アキラと一緒に家に居るぞ」

克哉さんも車に乗り込んでくると、俺の隣に梅子ちゃん、助手席にはるか、そして俺の膝には半分寄りかかると言っていたかなたが上にしっかり乗っかってきていた。

「すごいシート///」
「そうだな…」

梅子ちゃんの言う通り、克哉さんの車のシートは確かに普通に見るような布のものではなく、見たことも無いような落ち着きのある黒い革張りだった。

そして、普通の車だと俺の膝は前のシートにつっかえたりする事もあるんだけど、かなたと一緒に座っていても膝が当たる事は無いくらい余裕のある広さだった。

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