《MUMEI》
「おまえさ、」
「…なに」
「5年前、俺が言ったこと、覚えてるか?」
―――――「おまえもおれも一人だったら」
「おれがおまえもらってやっから」―――――――
意味わかんない。彼女、作ったくせに…。
「おぼえてない」
そっかって、小さい声が聞こえた気がした。
「そいつ、彼氏とは、結婚すんのか」
「…知らないよ、そんなの」
てかいないから。嘘だから。するわけないじゃん…
「なんだそれ」
石田は、フッと優しく笑った。
「…30、」
「は?」
「30までに、結婚しなかったら、――――――」
「…ばっかじゃない。だから、おことわりだっつーの」
「いいから、おぼえてろよな」
「ふん、どーせあんたが忘れるくせに」
「忘れねーよ!」
「どーだか!じゃあねっ」
「約束だかんな!!」
あたしたちは、また分かれた。
約束は、果たされる日が来るのだろうか
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