《MUMEI》

「久しぶり〜!元気してた〜??」

「おまえ太ったなー」

「子供何歳になったの〜??」

10年前と変わらない声、姿たち。

けど、話す内容は変わったよう。


「詩織ー、元気だったー??」

テニス部のみんながわらわらと近づいてくる。

「詩織もそろそろ身ぃかためなよー」

「そうそう、あっという間にババアになっちゃうよー!」

「この子、寄ってくる人かたっぱしから振ってるらしいよ」

「げー、ぜいたく〜〜」

「ハハハハ…」

あたしは、みんなと話しながら、「あの声」を捜していた。


そのとき

「わりー!遅れた!」

石田が、きた。

「おっせーよ!何してたんだよー」

「わりわり、仕事が入ってさー…、よぉ」

あたしに気付いて、軽くあいさつをしてきた。

手をあげるその左手には、10年前と同じ……


「…よっ」





あぁ、終わったなぁ。

そう思った。

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