《MUMEI》

朝食の、北条家の団欒にお邪魔させてもらう。


「……あれ?二郎君。」

修平さんだけが良いリアクションである。
神部親子は黙々と食事を始めていた。


「おはようございます。」



「しゅーちゃん、俺、日本に残る。行きたい大学があるんだ。」

妙に大人びた七生の横顔が逞しかった。


「瞳子さんも行くんだよ?」

突然のことに修平さんは動揺している。



「ついでに言うけど、婚約破棄する。互いに好きな相手が他にいるんだ、そんなんで婚約出来ない、気持ちに嘘つきたくない。」

怒涛の事実に修平さんは座ってなければ立ちくらみしそうだ。


「じろーくん……」

救いを求めるように見られた。


「修平さん、七生は夢があってそのためにずっと努力し続けてます。
挫折もしたことあっても七生は必ず自分で道を拓けるんです。どうか、お願いします、七生を連れていかないでください。」

修平さんに頭を下げた。

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