《MUMEI》 空気屋大気汚染の進んだこの世界で、室内では空気清浄器を設置するのが普通となり 外出の際にはゴーグルとマスク それに、昼の紫外線と夜の寒さ対策のフード付きマント着用が普通となった。 そんな中 空気は 商品として、扱われるようになった。 その兆しは、一昔もあった。 しかし、それは 酸素バーや酸素カプセルといった存在は 美容や健康を重視する、一部の裕福な人間のものでしかなかった。 しかし、今 空気は普通に コンビニやスーパーで売られる存在になっていた。 その中でも、庶民が手にするのは、企業が人工的に清浄した安い空気で 金持ちは、空気屋が採取した、天然の高価な空気を独自のルートから購入していた。 その、空気屋が、クーの職業である。 例えば、きのこ取りの名人が、山に入ると途端に元気になり、常人以上の力を発揮するように 普段、ごく普通の何処にでもいる少年のクーも 天然の澄んだ空気が存在する場所では、別人となるのだが… 少なくとも 今、アルゴンの食事を前にしたクーは、ただの無邪気な少年だった。 前へ |次へ |
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