《MUMEI》
その後
「おっせーよバカ!!」

「しょうがないじゃん!つーかあんたが早すぎんだよ!!」


今日は、あたしの親にあいさつしに行く日。

ビシッとスーツで決めた石田。しかし…


「なんかしゃべれよ」

「無理」

「うわ、放置プレイ?このまま何時間も?」

「おまえ!俺の今の心境読めよ!!」

「読めましぇーん」

「ちきしょっ…、あーまじ死にて」


石田は、相当上がっていた。

ばかだなぁ。うちの親、あんたのこと知ってんのに、今さら緊張する必要ないじゃん。


「小学校や中学の親だろ!?ガキのころのイメージじゃだめに決まってんだろ!!」


ぶつぶつ挨拶の練習をし始める。運転しながらよーやるわ。

遠いから電車かバスでって言ったのに、却下された。
「お前は公共の乗り物には乗せない。男がやらしい目で見かねない」


何でも、小学校のときからあたしは男子の間で結構モテていたらしい。

石田は気が気じゃなかったようで。

あたしに告白した男子たちが、あっさり下がったのは、

石田がそのあと脅したからだった。



ちなみに、成人式の日にゆびわをしてたのは、あたしに彼氏ができたと聞き、見栄をはっての行為だったそうで。

持ってきていたゆびわをつけたらしい。


ポケットには、あたしに渡すはずだったゆびわを入れて…



かわいそうなことをしたなと思い、それを聞いてしばらくは、たっぷり甘えさせてあげた。

デレデレに、悦んでいた。

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