《MUMEI》
友達や同級生に報告したら、もう大騒ぎ…でもなかった。
「やっとかよ!」
「おっせー」
「何年かかってんだよ」
「なさけなーい」
「サル」
ひどいぐらい、石田はボロッカスに言われ、ブチ切れてた。
けど、家に帰ってみたら相当落ち込んでいた。
「おまえが俺を何度もふるからだ…」とぼやいていた。
ごめんごめんと頭を撫でてやったら、そのままふて寝した。(あたしの膝で)
あのあとすぐ、あたしは石田のマンションに住まわされた。
半ば強引に元のアパートの契約を切られ、荷物も全部一気にマンションに運んだ。
そんなに焦んなくてもって言ったら、
「焦んないでいたからこんな年までかかったんだ!!」と怒鳴られた。
母親に報告したら、連れてこいと言われた。
最初はめちゃめちゃ意気込んでいたのに、今は…
「まあ、大丈夫よ。お母さん“は”反対せんよ。会いたいだけだろうから」
「はってなんだよ、お母さんはって。」
「お父さんは、そう簡単には…無理だろねってこと」
「やっぱり……俺、おまえの父ちゃん見たことある。参観日に、ビデオ回しまくってたよな」
「よく覚えてんね」
「だって、あんとき俺、『いつかこの親父さんに娘くれって言わなきゃいけないんだ…』って思ったもん」
「ブハッ!!あんたっ、いつからそんなこと考えてんのよ!?アッハハハハハ!!!うけるーー!!!」
「笑ってんじゃねー!!あ、やべ、もう着きそう…」
達一、運転してる姿かっこいいって言ったら、すっげーニヤニヤしだした。
このあと、やっぱりお父さんに「ダメ!!」と言われたのは言うまでもない…。
fin★。.
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