《MUMEI》
書簡の内容
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「織田軍はほぼ壊滅…立て直しに時間がかかることでしょう。尾張の後ろ盾を無くした土岐頼芸は失脚し、近江へ下った模様。頼芸は完全に美濃から手を引きました」

道三は黙ったまま、道利の淡々とした報告にじっと耳を傾けていた。

道利は主を見つめたまま、続ける。

「この美濃国は名実共に、殿のものです」

その言葉を聞いた道三は、ため息をひとつつき、ようやく口を開いた。

「…織田が黙っていないであろうな」

道利は首を傾げた。

「ですから織田軍は、こたびの戦で壊滅し…」

「負けっぱなしで引き下がる程、織田信秀は腑抜けではないわ」

ピシャリと言い放った言葉に、道利は黙り込む。道三は再びため息をついて、言った。

「…頼芸が失脚したとはいっても、この国には土岐氏の息のかかった者どもが、まだまだ沢山おる…元々は土岐氏の国であったから、当然だがな」

道三は脇息にもたれ掛かり、続ける。

「其奴らが周りの守護大名と手を組んで、いつ、この俺の首を狙ってくるか、分からんぞ」

そう言って、またため息をつく。

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