《MUMEI》
『望み』と『思惑』
確かに、
今まで、目下の敵であった土岐氏を廃し、美濃を手中に治めたが、

敵は、他に沢山いる。

甲斐の武田氏、
越後の長井氏、
駿河の今川氏…

それに、頼芸が逃げ込んだ近江の六角氏も、いつ美濃に攻め込んで来てもおかしくはない…。

しばらく考えた後、道三は道利を見た。

「…して、織田は、何が望みだ?」

手を結ぶにしても、そこには何か既成事実のようなものが必ず付いて回る。
お互いの国の絆が強いものだ、見て取れる程に分かる、何か、が。

織田の参謀、平手政秀の思惑とは…。

道利は少し間を置いてから、
はっきりと言った。

「強いては、美濃国で一番の才女と謳われる濃姫様を、尾張当主・織田信秀の三男であり、また国の跡取りである、織田三郎信長に輿入れするように、と」

道三は、まずは驚き、それからフツフツと怒りが沸き上がった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫