《MUMEI》

「あの指輪ですか?」


「‥うん」

「──そうでしたか──」


‥?


何や嬉しそうやなぁ、コイツ。


「って‥はよ行かなッ」


「──お待ち下さい」


「ぇ、何で‥?」


「その前に──リビングへどうぞ」


「遅刻するやんっ」


「朝食はちゃんと召し上がって頂かなくては」


「んなぁっ‥」


‥遅刻確定や‥。


「‥ッ!?」


「済みません、リボンが曲がっていたので」


「ぉ‥おおきに‥」


ビックリしたなぁ、もぉ‥。


「──急がなくていいんですか?」


「ぅあっ‥‥‥せやった‥!!」

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