《MUMEI》 一年の締め括りあのあと、俺は暫く謎の体調不良で学校をまた休むことになり、七生は今の学校に通いながら柊荘で一人暮らしをしている。 「結局、戻ってきたんだ?」 これが乙矢なりの挨拶なのだ。 「家に帰ってきてどこが悪い!」 「別に、ただ、二郎のこと労れない奴が戻ってきたことを考えると頭痛いなと。」 挨拶が喧嘩腰なのもいつものこと。 なんだかんだで、乙矢は七生の合格祝いに互いに足を運ぶし、二人、険悪ではないのだ。 七生の大学は私立だし、断ったのだが学費は修平さんが出してくれるとのことらしい。 「あとは二郎だけだな。」 そう。 俺だけ公立の一般受験なのである。 「わからないとこは聞いていいから。」 ……乙矢大先生、頼もしい。 「とか言って、二人きりになろうとしてるだけだろ!」 「お前と同じレベルにするな。そっちこそ受験生は大事にしてやれよ。」 「ああ? 言われなくてもわかってるから!」 七生と乙矢のいつものそれも、高校卒業したら暫く見れないのか……感傷的になるな。 前へ |次へ |
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