《MUMEI》
一億二千七百七十七人分のイチ
「二郎!」

満面の笑みで走ってくる……が、乙矢の足に引っ掛かって廊下を派手に転んだ。
すっ転んだ七生の目の前に座る。


期待の眼差し。


俺も笑顔で返す。












「……落ちた。」

時間が止まったようだ。
乙矢も、察知していたようで頭を抱えている。


「よし。」

七生がゆっくり頷く。
何がよし、なんだ。

「勉強だ!」

そう言いながら七生は俺を持ち上げた。


「降ろせ馬鹿!」

どんな顔して会えば良かったかわからなくて、ちょっと安心した。

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