《MUMEI》
別れ









仁の火葬が始まった。





ただ眠っているだけにしか見えない仁に、俺達は別れを告げた。











「惇ちゃんテレビ見てるよ〜?すっかり芸能人になっちまって」

「…ありがとうございます」

俺は次々と親戚にビールをお酌する。


「健二さんも前妻の連れっ子ここまで頑張って面倒みたのにねえ、まったくなんの恩返しもしてもらえない内に事故だなんて。しかもサラリーマンしてるって親には言っといて本当はホストしてたなんて。
お通夜の時、惇君のお兄ちゃんって事でテレビ局の人いっぱい来てたのに、ホストみたいな人何人も来てたでしょ?
迷惑だったわね〜惇君、貴方のイメージが崩れるのは叔母の私も不愉快だわ」


お袋の姉にあたる叔母はそう言いながら煙草を吸い出した。

俺は無言でその叔母にもお酌をする。

「まあ拓坊も意識戻って、幸い頭も正常だった!これからは兄弟仲良く親父とお袋の事頼んだぞ惇」


また他の舅がそう言った後、舅は高笑いした。



叔母も続いて笑った。


他の親戚も同意するかの様に笑っている。




ちらりとじーちゃんを見ると




じーちゃんも笑っていた。




じーちゃんは、親父の前妻が亡くなった後、前妻の連れ子で、親父とは血の繋がらない仁をそのまま引き取って育てる事にもの凄く反対したらしい。





結果、じーちゃんは家を出て叔母の元で暮らしている。





板前としてやっと一人前になったばかりの時にじーちゃんに板場を離れられて親父は物凄く苦労したとお袋に聞かされている。




当時中居として働いていたお袋はそんな親父を支え、そして兄貴を身ごもり結婚したらしい。



「あれ?惇ちゃん?」


「…すみません、ちょっと…」



俺はこの場に居る事が出来ず、待ち合い室を出た。










「惇?どうした?」

「…………」



「「惇」」




「うぅ……」








立っていられず俺はその場に崩れた。




俺に駆け寄る親父とお袋。




俺はしゃがみ込んだ二人に抱きついた。

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