《MUMEI》 戦いの火蓋濃は、ああやはり…と思った。 …やはり、このひとは。 −−−その時、 少年の声を聞いた各務野が慌てた様子で部屋に舞い戻った。 各務野は濃と、その傍らにいるおかしな格好をした少年を見て、顔を青くし、悲鳴をあげながら少年につかみ掛かる。 「ご無礼な!この方をどなたと心得るッ!!」 半狂乱になった彼女が、濃の顎を掴む少年の手を振り払おうとした時、 「黙れ!!」 城中に響き渡るような大声で、少年は各務野に怒鳴り付けた。 あまりの声の大きさに、各務野はビクリと肩を揺らし、動かなくなる。 少年は各務野を睨み遣り、澄んだ声で叫んだ。 「無礼はお前だ!侍女風情が抜かせ!!お前こそ、俺を誰だと思っているッ!!」 騒ぎを聞き付け、織田の侍女達が血相を変えて、バタバタと濃の部屋までやって来た。 前へ |次へ |
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