《MUMEI》
お隣さんとお向かいさん2
「で、二人は何しに来たんだ?」

「あ、ごめん。挨拶に来たんだ。俺、隣の1204号室だから。

和彦は、高橋君の向かいの1220号室だよ」


そうなんだ


「わざわざありがとう。茶でも飲んでくか?

ちゃんと自己紹介したいし」

「うん!」

「…仕方ねーな」


和彦、皐月にベタ惚れだな


顔、赤いし


「じゃ、上がって」

「お邪魔します」

「…します」


えーと、確か冷蔵庫にペットボトルのお茶入ってたよな


後は、コップ、と…


「冷たくて悪いけど、どーぞ」

「ありがとう」

「…チッ…」

「和彦!」

「…」

「アハハ! 和彦って本当に皐月に惚れてるんだな」

「悪いか」

「いや。いーんじゃねー」

「ぼ、僕みたいな平凡な男が相手でも?」


皐月はかなり不安そうだった


和彦は、身長が高く、口は悪いし見た目は不良みたいだけど、女にもてそうなイケメンで


皐月は、どこにでもいそうな、少し地味目の少年だった


けど


「和彦が皐月にベタ惚れだし、皐月も和彦が好きなら、いいんじゃないか?」


俺がそう言うと、皐月は笑った


初めて見た時も思ったけど、皐月、笑顔は、結構可愛いんだよな

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