《MUMEI》 お隣さんとお向かいさん4「うち、両親交代で料理作るし、お袋裁縫ダメだから、雑巾とか図書袋、親父が縫ってくれたんだ」 お嬢様だったお袋は、結婚するまで家事をした事なかったし そういう才能も無かった その辺、俺、似ちゃったよな 親父みたいに、器用に生まれたかったよ まぁ、喧嘩強いのと、顔付きは親父似だけどさ 「だから、変じゃねーよ」 「ありがとう」 「お前、意外といいヤツだな」 「意外とは余計だ」 生意気な和彦に、軽く蹴りを入れた あくまで、軽くだ 「わかったよ、誠先輩」 「ん、よし」 敬語は無いけど、ま、いーか 「にしても、虎之介先輩といい、皐月と和彦といい、いいヤツばっかで良かったよ」 俺がそう言って笑うと 二人は目を丸くした そして、何か小声で話し合っていた 何だよ、仲間外れかよ …それとも、恋人同士ならではの話か? ピンポーン! 「あ、今度こそ虎之介先輩だ!」 前へ |次へ |
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