《MUMEI》

「そうだ、大学行ったらその溺愛の恋人と暮らすの?」


「いや、面倒だから暫くは一人暮らしだな。」

ふーん、そうなんだ。


「俺は二郎と同棲だ、いいだろ?」


「ああ、遠慮無く遊びに行ける。」

力の差……。


「本当、お前腹立つ。」

喧嘩よくない、
七生、我慢だ、我慢。


「お前が無神経だからだ、本人も気付いてないけど最近は二郎、尖端恐怖症っぽいし。心当たりあるか?」

全く意識していなかった、俺、そうだったのか?


「多分、尖端じゃなくて刃物。豚串、普通だったじゃん。」

肩の傷痕を思い出した。


「ちゃんと守ってやれよ。二郎の体にこれ以上傷を作るな。」


「言われなくても。そん時は殴っていいから。」


「歯、折っていい?」


「手加減出来ないならボディにしろ、二郎のこと本当好きだな!」

七生ってば……ヤキモチ?


「馬鹿。……二郎のことどう思う?」


「かわいい、きれい、だいすき。」

照れる。


「俺は心配。ずっと、心配だな。体調はすぐ崩すし、変な奴に騙されたり引っ掛かったりする。俺は二郎の純粋さに救われて二郎はその純粋さで傷付く。」


「まさかこんな胃の痛い心配をずっとしてたのか?」


「五月蝿い」


「おまじないを教えてやるよ。“ナナオニマカセタラアンタイダ〜”って胸の中で三回唱えるんだ。」


「……馬鹿野郎だな。」

乙矢と七生には、本当、感謝してばかりだ。

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