《MUMEI》

「ふふっ。鈴音は沢谷でも見ていなさい。」


絢南にあしらわれ、仕方なく、携帯をいじっていた。

すると、突然立ち上がった二人がいた。

五月蝿かった教室は、水を打ったように静まり、二人に視線が集まった。

いかにも真面目そうな二人組。

そして、片方が口を開いた。


「私達、先生を呼んできます。」


それだけ言うと、二人で教室を出ていった。

静まりかえった教室で、みんな茫然としていた。

しかし、それもつかの間、また元の五月蝿さを取り戻した。

先ほど出ていった二人について話している人が多く、非難が教室中に広まった。


「何あれ。馬鹿じゃん?空気読めないの?」


あたしは絢南に言った。 絢南は、相変わらず課題をやっていて…


「うーん…。先生に来られると困るなぁ。課題が出来なくなる。」


絢南はボソッと言った。

「だよねぇ…マジうぜぇ。」とあたしはつぶやくと…
どこからか視線を感じた。

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